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中央アジアのウイグル

遊牧ウイグル帝国が崩壊したとき、一部のウイグル人はモンゴル高原を捨てて散らばった。南の河西地方(現在の甘粛省)にたどり着いた者は、甘州(張掖)・沙州(敦煌)のオアシスを占領、中心に在来の漢民族、チベット人を支配して甘州ウイグルまたは河西ウイグルと呼ばれる小王国を築いたが、1026年に西夏に滅ぼされた。

西に行った者はカルルクなどの天山山脈西北麓のチュルク系遊牧民に吸収されるが、テュルク系遊牧民の立てたイスラム王朝であるカラ・ハン朝はこれらのウイグルの残余を含んでいたとも言われる。

天山山脈の東北麓のビシュバリク地方に行った者は、この地に天山ウイグル王国(西ウイグル王国)を建設し、南麓のトゥルファンを支配した。カラ・ハン朝と天山ウイグル王国は次第に定住化して従来からの定住民と一体化していったため、彼らの支配した天山・タリム盆地一帯は言語のテュルク語化が進み、テュルク人の土地(東トルキスタン)と呼ばれるようになる。天山ウイグル王国は、当初はモンゴル高原以来の伝統によりビシュバリクの草原地帯に政権の中枢があったが、すぐに定住化が進んだ。

この国では10世紀頃までマニ教の信仰が維持され、周辺のオアシス都市の仏教勢力と共存していたが、10世紀後半から11世紀にかけてウイグル支配層の仏教への改宗が進み、仏教国家化した。また、ソグド人たちが用いていたアラム文字の系統に属すソグド文字の草書体から派生したウイグル文字を用いて自らの言語を書き表すなど、独自な文化を発達させる。

甘州ウイグルが滅びた後、天山ウイグルはウイグルを名乗る唯一の勢力となった。12世紀には西遼に服属するが、13世紀初頭、モンゴル帝国がモンゴル高原を統一し、モンゴルに追われたナイマンのクチュルクが西遼を簒奪する混乱の中で西遼から自立、モンゴル帝国に服属した。チンギス・ハーンはウイグル王国の国王(イディクト)、バルチュク・アルト・テギンに自身の娘を娶らせ、ウイグル王家をハーン家の婿(駙馬)の家とした。

また、チンカイ、タタトンガを始め、多くのウイグル人がモンゴル帝国に仕え、ウイグル文字がモンゴル語を筆記するために導入(モンゴル文字)されるなど、モンゴル帝国の発展に多大な影響を及ぼした。

しかし、13世紀の末にはカイドゥの乱に始まる中央アジアの動乱に巻き込まれて圧迫され、1283年に王家が天山を捨てて甘粛に移住、天山ウイグル王国は事実上消滅した。残ったウイグルの人々も仏教徒であったがために、14世紀のチャガタイ・ハン国のイスラム改宗によって強まったイスラム化の圧力に押され、中央アジアでは消滅に向かっていった。

年表 [編集]
5世紀以前 - モンゴル高原北部のセレンゲ川上流域に興る。
6-7世紀 - オルホン川、トラ川流域で東突厥の支配下に置かれる。
8世紀前半 - 東突厥の滅亡後、唐に服属する有力部族連合のひとつとして台頭する。
744 - 懐仁可汗が可汗を称し、遊牧ウイグル帝国(744-840)を興す。
745 - 突厥を滅ぼす。
757-763 - 安史の乱に介入。援軍を送って唐を助け、定住文化導入の契機をもたらす。
763 - 第3代牟羽可汗がマニ教に帰依。この頃、ウイグルは繁栄を極め、吐蕃(チベット)と並んで唐の辺境を脅かす。
779 - 内紛により牟羽可汗が殺され、以降、幼く在位の短い可汗が続く。
795 - 宰相クトルグ・サングンが自ら擁立した幼い第6代可汗に代わって可汗に即位(懐信可汗)。
8世紀初め - 遊牧ウイグル帝国が最盛期を迎え、西はシル・ダリヤ、アム・ダリヤ両河まで、南は高昌まで版図とし、天山東部の領有を吐蕃と争った。
830年代 - 天災やハン位継承の内紛により混乱。
840 - キルギスの侵入により、ウイグル帝国が滅亡。一部のウイグル人は中央アジアや河西回廊に移住し、天山ウイグル、甘州ウイグルを形成。また、別の一部は中国に逃れて唐や契丹に服属した。
1026 - 甘州ウイグルが西夏に滅ぼされる。
12世紀前半 - 天山ウイグル王国、契丹人の西遼に服属。
1209年 - 西遼の介入に反発したウイグル王国内の勢力が西遼から派遣されてきた総督を殺害し、モンゴル帝国のチンギス・ハーンと結ぶ。
1211年 - ウイグル国王(イディクト)バルチュク・アルト・テギン、チンギスの招請に応じて自らモンゴル宮廷を訪れ、モンゴル帝国に服属する。
13世紀後半 - カイドゥの乱勃発により、元とカイドゥの両勢力の最前線に位置したウイグル王国は圧迫を受け、王家が甘粛に移住。王国は事実上消滅する。

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2009年04月16日 08:43に投稿されたエントリーのページです。

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